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2025/10/27 16:00

■ アメトリンにまつわる伝説 ― 愛と国をつなぐ物語
ボリビア東部、熱帯の森の奥深くに位置する「アナイ鉱山(Anahí Mine)」。
この地からしか産出されない奇跡の宝石――アメトリンには、ロマンチックな伝説が伝わっています。
16世紀、スペインの征服者が南米に進出していた時代。
ボリビアのグアラニ族の王女「アナイ(Anahí)」は、スペインの兵士に恋をしました。
彼は敵国の人間であり、彼女の愛は許されざるものでした。
やがて、彼女の恋が発覚し、処刑の運命に。
最期の時、王女は恋人にひとつの宝石を手渡しました。
それは「紫」と「金」の二色が交わる、美しい結晶――
アナイ王女の「純粋な愛」と「祖国への忠誠」、二つの想いを象徴していたのだといわれます。
スペイン兵はその石を祖国へ持ち帰り、ヨーロッパの宮廷で話題に。
それが、アメトリン(Ametrine)という宝石が初めて知られた瞬間でした。
■ 歴史の中での再発見
17世紀の記録では、ボリビア東部の鉱山で“二色のクォーツ”が発見されたという報告が残っています。
しかし、その後長らく鉱山の場所は不明となり、「幻の宝石」と呼ばれるようになりました。
1970年代、ボリビアの鉱山会社が偶然この鉱脈を再発見。
それが、現在も稼働している「アナイ鉱山(Anahí Mine)」です。
再び光を浴びたこの宝石は、国際的な宝石市場に「ボリビアニータ(Bolivianita)」として登場し、世界のジュエリーデザイナーたちを魅了していきました。
■ 切手にも刻まれた“国の宝”
ボリビアでは、鉱物や自然資源が国家の象徴とされ、切手にもたびたび登場します。
その中には、アメトリン(ボリビナイト)を描いた記念切手も存在し、「ボリビアが誇る宝石」として紹介されています。
この切手は、ボリビアの鉱山文化と誇りを世界に発信する小さなアート。
たった一枚の切手が、遠い国の愛と地球の奇跡を伝えているのです。
■ アメトリンが教えてくれること
アメトリンは、
「異なるものが美しく調和する」ことを象徴しています。
それはまるで、アナイ王女とスペイン兵の恋のように――
異なる世界を結ぶ“愛と調和の石”。
https://www.hirostone.com/categories/6432427
歴史を知ると、ひとつの宝石が持つ深い物語が見えてきます。
次回はその続きとして、「アメトリンの色が生まれる科学と自然の神秘」に迫ります!
